「こんなに苦しんでいる人が多いなら二日酔いによく効く薬もあるはずだ」
ズキズキ痛む頭で淡い期待を抱きながら薬箱を漁っても効能に「二日酔い」と書いてあるのは胃腸薬ぐらいでしょうか。
実は効能を「二日酔い」と明記している市販薬は意外と少ないのです。
効能が「二日酔い」の薬
ハイチオールCプラス(エスエス製薬)
ハイチオールCプルミエール(エスエス製薬)
シミ・そばかす改善のための薬ですが、二日酔いにも効果があるというのは酒好きの間では有名な話です。
後付けで効能が追加された印象がありますが、この薬の成分であるL-システインは肝臓の解毒作用を高める効果があるため、前身であるハイチオールから二日酔いに効くと言われていた薬なのです。
しかし肝臓の解毒作用による「メラニン生成の抑制し肌の新陳代謝を活発にさせる」 という成果にスポットを当てて「シミ・そばかすに」と女性にアピールすることでハイチオールCは人気商品となったのです。
効能・効果
○ しみ・そばかす・日やけなどの色素沈着症
○ 全身倦怠
○ 二日酔
○ にきび、湿疹、じんましん、かぶれ、くすりまけ
アルケシクール(エスエス製薬)・・・販売終了
同じエスエス製薬の商品ですが、実はハイチオールCと全く同じ成分です。
男性向けにパッケージを黒くして「二日酔い」を全面に押して販売していたものです。
2012年に販売終了となりました。
ハイチオールCの類似薬・ジェネリック医薬品
ハイチオールは発売が1970年代と古いため特許により独占できる期間を過ぎており、現在では類似薬やジェネリック医薬品が数多く販売されています。薬局に行くと「ハイチオールCと同じ成分です」という ポップを目にすると思います。
しかしこれらの類似薬には効能が「二日酔い」と書かれているものといないものがあります。
薬の効能を表記するためにはその効能ごとに認可を受ける必要があり、臨床試験に多額の費用と時間が掛かります。同じ成分の薬でも効能に「二日酔い」の表記がないのはそれを回避したためです。
漢方でもいくつかありました。
体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、めまい、はきけ、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:
水様性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹注)のものには使用しないこと)、暑気あたり、頭痛、むくみ、二日酔注)しぶり腹とは、残便感があり、くり返し腹痛を伴う便意を催すもののことである。
体力中等度で、みぞおちがつかえた感じがあり、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便又は下痢の傾向のあるものの次の諸症:
急・慢性胃腸炎、下痢・軟便、消化不良、胃下垂、神経性胃炎、胃弱、二日酔、げっぷ、胸やけ、口内炎、神経症
体力中等度以上で、のぼせぎみで顔色赤く、いらいらして落ち着かない傾向のあるものの次の諸症:
鼻出血、不眠症、神経症、胃炎、二日酔、血の道症注)、めまい、動悸、 更年期障害、湿疹・皮膚炎、皮膚のかゆみ、口内炎注)血の道症とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のことである。
漢方薬は症状が同じでも上記のように患者の体力や体調によって薬が変化します。個人差を尊重する考えが強い医学のため、ご利用の際には医師・薬剤師に相談することをおすすめします。
効能が「二日酔い」の薬は以上です。
意外とすくないですね。
効能が「二日酔いのはきけ・むかつき」の薬
多くの胃腸薬は「二日酔い時のはきけ・むかつき」に効果があるとしています。
もたれ、食べ過ぎ、飲み過ぎ、胸つかえ、食欲不振、胸やけ、胃痛、胃酸過多、胃重、胃部不快感、げっぷ、消化不良、消化促進、胃弱、胃部・腹部膨満感、はきけ(むかつき、二日酔・悪酔のむかつき、悪心)、嘔吐、整腸(便通を整える)、軟便、便秘
はきけ(二日酔・悪酔のむかつき、むかつき、胃のむかつき、嘔気、悪心)、嘔吐、消化不良、食べ過ぎ(過食)、飲み過ぎ(過飲)、もたれ(胃もたれ)、胃弱、食欲不振(食欲減退)、胃部・腹部膨満感、胸やけ、胸つかえ
・食欲不振(食欲減退)
・胃弱
・胃部・腹部膨満感、消化不良、食べすぎ、飲みすぎ、胸やけ、もたれ(胃もたれ)、胸つかえ、はきけ(むかつき、二日酔・悪酔のむかつき、悪心)、嘔吐
・栄養補給、妊産婦・授乳婦・虚弱体質者の栄養補給、栄養障害
胸やけ、飲みすぎ、胃痛、胃酸過多、胃もたれ、胃部不快感、胃部膨満感、胃重、 胸つかえ、げっぷ、はきけ(むかつき、胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、嘔気、悪心)、嘔吐
飲みすぎ、胸やけ、胃もたれ、食べすぎ、胃痛、胃部不快感、消化不良、消化促進、食欲不振、胃弱、胃酸過多、胃部・腹部膨満感、はきけ(胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、悪心)、嘔吐、胸つかえ、げっぷ、胃重
飲みすぎ、はきけ(二日酔・悪酔のむかつき、むかつき、胃のむかつき、嘔気、悪心)、食欲不振、消化不良、胃部・腹部膨満感、胃弱、食べすぎ、胸やけ、もたれ、胸つかえ、嘔吐
その他の一般的な胃腸薬にも効能に「二日酔い時の吐き気・むかつき」があることが多いです。
変わった薬にも二日酔いに効果が
そんななかで一風変わった薬にも二日酔いに効果があるものもあります。
口臭除去剤です。
効能は「口臭の除去、二日酔い」と記載されています。
主成分の銅クロロフィリンナトリウムは荒れた胃粘膜の修復を助け、二日酔い時の吐き気やむかつきを抑える効果があります。
ヘパリーゼの効能には「二日酔い」の表記がない
宴会シーズンに大人気のヘパリーゼですが、実は効能に「二日酔い」の表記がありません。
効能・効果
滋養強壮、胃腸障害・栄養障害・病中病後・肉体疲労・発熱性消耗性疾患・妊娠授乳期などの場合の栄養補給、虚弱体質
広告は明らかに二日酔いの予防・改善をイメージさせる作りですが、効能にないため「二日酔いに効く」とは一切書けずに「飲む人に効く」としているのです。
※なお胃腸薬成分を配合したヘパリーゼ胃腸内服液には他の胃腸薬と同じように「二日酔いのむかつき」が効能として表記されています。
もう一つの定番「ウコンの力」は医薬品ではなく清涼飲料水のため、効果があろうがなかろうが効能は一切表記できません。ただし清涼飲料水のためスーパーやコンビニでジュースと同じように気軽に取り扱うことが出来るという流通上の大きなメリットがでてきます。
これらの商品は効能のイメージを伝えつつ、実際の効果はご自分でご確認くださいということのようです。
効能に「二日酔い」と言う表記がある薬という視点で調査をしましたが、効能の表記には臨床試験の結果だけでなく開発費やマーケティング戦略も絡んでくる難しい事情があるようで、「書いていないから効かない」と言い切れないようです。
さらに薬の効果には個人差がありますので、周囲の体験談やアドバイスを参考に自分に合った薬をさがしましょう。
[薬の服用にあたってのご注意]
薬の服用にあたっては必ず医師・薬剤師の指示、又は製薬会社の説明書にしたがって下さい。分からないことがある場合は服用前に医師、薬剤師に相談して下さい。