「日本酒は次の日に残るので苦手」
「焼酎はOK、でもワインはダメ」
そんな話を聞いたことがありませんか?
経験的にいろいろな説が言われていますが、二日酔い悪酔いになりやすいお酒、なりにくいお酒というものはあるのでしょうか?
色の付いたお酒は二日酔いになりやすい?
「透明なお酒は二日酔いになりにくい」という説があります。
赤ワインより白ワインのほうが二日酔いしにくい。
バーボンよりウォッカの方が二日酔いしにくい。
というものです。
なぜ色のついたお酒が二日酔いしやすいのでしょうか。
ポイントは色にありそうです。
ではバーボンや赤ワインの色は何で出来ているのでしょうか。
色の成分はアセトン・フーゼル油・タンニンなど醸造過程で作られる副産物や熟成などで意図的に加えられる添加物です。
これらが二日酔いを促進しているというのです。
これら水とエチルアルコール以外の成分は「コンジナー」と呼ばれています。
さらに色の有無に加えてもう一つの説があります。
蒸留酒は醸造酒に比べて二日酔いしにくい?
もう一つは「蒸留酒は醸造酒に比べて二日酔いしにくい」と言う説です。
蒸留酒とは醸造酒を気化・冷却することで純度を高めたもので、アルコール度数が高くなりコンジナーが大幅に減ります。
これも色の有無と同様に「コンジナー」が二日酔いを促進させるという考えに基いています。
両者とも「二日酔いになりにくい」としている根拠は同じなのです。
お酒の製造方法と色について
よくお酒を飲む方は既にお気付きの通り、透明だからといって蒸留酒とは限りません。
また色が付いているからといって醸造酒とは限りません。
さらにお酒には果汁や香料などの添加物を加えた混成酒(リキュール)と呼ばれるものもあります。
ここで一度整理をしましょう。
このように色の有無と製造方法はバラバラです。
製造方法について詳しくまとめると
醸造酒
酵母による発酵で作られるお酒。
蒸留処理がされていないために複数のアルコールや不純物が多く、これが独特の風味を生んでいる。
日本酒・ワイン・ビールなど
ただし醸造だけで均一なお酒を製造することが難しく、風味やアルコール度数を調整するために別のアルコールを添加しているものもある。
またワインでは品質を保つため酸化防止剤などが使用される場合もある。
蒸留酒
醸造酒をもとに蒸留してアルコールの純度を高めたお酒。
繰り返すことでアルコール度数が高くなる。
蒸留により不純物が減ることで風味も弱くなるが、樽詰め熟成などで意図的に風味や色をつけることも多い。
また芋焼酎やラム酒など素材の風味が残っているお酒は単式蒸留器を用いて精製度を低くしている。
ウイスキー・ウォッカ・焼酎・泡盛・ジン・ブランデー・ラム酒など
混成酒
醸造酒や蒸留酒を原料にして薬草・香料・果実などを加えて味や風味を付けたもの。
ほぼ同じ意味でリキュールとも呼ばれています。
合成清酒・梅酒・果実酒・コーヒーリキュール・ヨーグルトリキュールなど種類は多彩です。
わさび味やベーコン味、挙句の果てはタバコ味など、考えられるありとあらゆるアイデアが試されています。
特定のお酒に弱い人がいる理由
ここまでの内容を詳しくまとめると以下のようになります。
「色がついているお酒」「醸造酒、混成酒」である場合、傾向的に「コンジナー」が多いということになります。
多種多彩のコンジナーの成分のうち、一部の成分が二日酔いを促進させています。
コンジナーが原因で二日酔いが起きる理由は以下の2つが考えられます。
肝臓が分解しなくてはいけない成分があった場合
その成分の分解処理に肝臓が使われ、アルコールとアセトアルデヒドの分解が滞ります。
結果として酔いやすく、悪酔い・二日酔いを起こしやすくなります。
薬を飲んでから飲酒すると酔いつぶれやすくなる現象と同じです。
有害成分に対して過剰に反応する体質の場合
例えば赤ワインであれば、頭痛の原因となるヒスタミン・フーゼル油・メチルアルコール・チラミン、肝臓障害の原因となる亜硫酸塩などが微量ながら含まれています。
適量の飲酒なら何の影響も無いレベルですが、これらに過剰に反応する体質であれば二日酔いに似た症状を引き起こします。
これらから言えることは、コンジナーは少ないほうが傾向的に二日酔いを起こしにくくなるといえます。
ここで問題なのはこれを万人に当てはめることが出来ないということです。
各個人の体や肝臓の適応力がどのような特性を持っているかで結果は変化してしまうのです。
あなたに合ったお酒を見つけよう
「じゃあ、水で薄めた純アルコールを飲めばいいんじゃない?」という声も聞こえてきそうですが、それではあまりにも味気ないですよね。
これらを踏まえて自分の体質や肝臓に合ったお酒が見つかればお酒の楽しみも一層広がります。
もし二日酔いや悪酔いにムラがある場合は、その時飲んだお酒を思い出してみましょう。
なお、これは個性ですので他人と違ってもそれで気に病む必要はないのです。
逆に自分が苦手だからといって「〇〇はクソマズイ」というような攻撃的な発言もすべきではないのです。
それは自分の体質がそのお酒に合っていないだけなのです。
さらにもう一つ覚えていて欲しいのは、「コンジナーは必ずしも悪者ではない」ということです。
コンジナーはお酒独特の風味や芳香になり、お酒を嗜む楽しみの一つにもなっているのです。
料理に日本酒を使いうま味を加えたり、フランベで香りをつけたり、ワインで煮たりと有用な成分の方が多いのです。
コンジナーはお酒文化をより豊かにしてくれているのです。
その他の原因
「炭酸が入っているお酒は酔いやすい」と言う人もいます。
これに関しては、炭酸の発泡により胃が押し広げられ更に刺激されることでアルコールの吸収が早まることが知られています。
炭酸を含んだお酒はアルコール度数が低いものが多いですが、お酒を混ぜあわせる「チャンポン」やビール→泡盛→チューハイなど切り替えながらお酒を飲む場合は炭酸の効果により酔いが通常より早く回る可能性があります。
度数の高いお酒が苦手な人は
飲み会ではビールなど度数の弱いお酒から飲み始め、徐々に強いお酒へ切り替えていくことが常です。
その際に前に飲んでいたアルコール度数の低いお酒に引きずられて、飲むペースが上がっている事があります。
アルコール度数の高いお酒で二日酔いを起こしやすいという人は、度数に合った飲み方をしていないだけの可能性もあります。
5%のビールから25%の焼酎ロックに切り替えた場合は、飲むペースを1/5に落として初めて同等のペースになるということです。
これについては次ページ「飲むペースが分からない人」で詳しく見て行きましょう。